2026.8.11.
参議院議員・嘉田由紀子さん一行の烏川源流の視察

 大熊孝先生の講演会からちょうど1ヶ月がすぎた8月11日。
 参議院議員の嘉田由紀子さんを始めとする“息吹き返しダム視察団”が倉渕ダムが計画されようとしている烏川流域を視察されました。


視察団
メンバー
嘉田 由紀子さん (参議院議員)
保谷野 初子さん (星槎大学共生科学部特任教授)
梶原 健嗣さん (愛国学園大学人間文化学部教授)
浦 壮一郎さん (ジャーナリスト)
政野 淳子さん (ジャーナリスト)
渡辺 洋子さん (八ッ場あしたの会)


 地元議員など  
酒井 宏明さん (群馬県議会議員)
大澤 綾子さん (群馬県議会議員)
角倉 邦良さん (高崎市議会議員)
伊藤 敦博さん (高崎市議会議員)
金子 和幸さん (高崎市議会議員)
宮原田綾香さん (高崎市議会議員)
伊藤 祐司さん (前群馬県議会議員)
 
  
 さらに、NPO法人アグレコと烏川源流の会、地元の住民などが同行し、総勢25名ほどの大視察団となりました。台風15号の接近が心配されるような天候でしたが、雨にも降られず夕方まで無事に現地を見てもらうことができました。


スタートは落合橋

  
 
田んぼのあぜ道を歩いて烏川の河原へ
(この人達は子供たちではなく視察団の方々です)

 
 倉渕ダムが計画されようとしている場所からおよそ16.6km下流にあたる落合橋の少し下流が最初の視察地でした。
 ここはこの近くにあるNPOの「ぐんま里山学校」の子供たちが川遊びをする場所でもあります。
 ちょうど川遊びの時間になったらしく、子供たちが田んぼのあぜ道を通って烏川の河原のほうへ歩いていく場面に出会うことができました。 
 
河原で遊ぶ子供たち


    ライフジャケットを身に着けた子供たちが元気よく川の中に入って遊んでいました。筏やゴムボートに乗ったり、網で水中の生物を捕まえたりと本当に生き生きとして楽しそう!
 捕まえた生物を見せてもらうと、サワガニ、トンボのヤゴなどなど…。極めつけはヤツメウナギまで捕まえて見せてくれました。スナヤツメなのかカワヤツメなのかわかりませんが、環境省のレッドリストでは絶滅危惧Ⅱ類(VU)の貴重種です。
 上流にダムができてしまったらこの環境にも変化は少なからずあるはずです。
 また、ここは烏川の源流域から少し下流になるため、源流域に比べ水温がちょっと上がって、夏場に泳ぐには最適なくらいの温度になっていました。
 このあたりにはヤマメ、イワナの渓流魚と中流域に生息しているウグイやアブラハヤなども見られます。死んではいましたが、誰かがカジカも見つけてくれました。こちらも環境省のレッドリストで準絶滅危惧種(NT)です。

付け替え道路からダムが計画されている烏川をながめる

 昼食のあと、鷹ノ巣トンネルの少し上流側にあるポケットパークあたりからダムが作られるかもしれない烏川源流の様子を視察しました。
 クルマから降りると、いきなり大きな角を持ったオスのシカが斜面を駆け上がっていきました。
 夏の濃い緑に覆われた谷間の底にはわずかに水の流れている河原が見えます。渓谷をはさんで対岸には特異な形をした中垣岩があります。谷の遥か遠方には榛名山の西の裾野が見えています。絵になる景色です。ダムができてしまうと、この谷間が消え、景色も一変してしまうことでしょう。
 また、中止となった倉渕ダムを作るために工事がすすんでいた原石山への道や、作業道路跡もここから見ることができます。以前のダム工事で削られた山の斜面や地面がダム中止から20数年たって、やっと植生が回復しつつあるというのに、また破壊されてしまうのでしょうか。

 この視察で付け替え道路にいる間、頻繁に土砂を積んだダンプカーが道路を行き交っていきました。これはこの日に限ったことではなく、最近ここにいると日常的に目にする光景です。ちょっと多すぎです。
 ダンプカーの行き先は、「土捨て場」。中止となった倉渕ダム建設の際に土捨て場として利用されていた場所がそのまま公共工事で出る土砂の捨てる場所となってしまっています。
 このあたりに生息しているはずのクマタカに影響が無いとは思えません。
 クマタカはいるけれど、繁殖はしない、という日本のあちこちで指摘されている危機的状況がここでも起こっているのかもしれません。この状況は「ネイチャーネガティブ」です。
 
 
 

烏川上流砂防堰堤

 ダムが作られた場合、かろうじて水没を免れると思われる上流域も視察しました。(すっかり写真を撮るのを忘れていました)
 カエデやイヌブナやミズナラなど紅葉落葉樹が水辺にあって、秋になると紅葉の美しい場所です。
 「はまゆう山荘」の前あたりから角落山や剣が峰の登山口へ続く林道を少し歩くと、「烏川上流砂防堰堤」と呼ばれる1951年に作られた堰堤があります。文化庁から登録有形文化財として認定されている砂防堰堤とのことです。
 この砂防堰堤の上側は土砂が堆積して緩やかな流れとなっていますが、下流側は渓谷状です。ダムができてしまうと、この渓谷状の流れは土砂がたまり、まったく異なった姿になってしまうかもしれません。



 


烏川渓谷公園


嘉田さんをかこんで地元の県議・市議の方々




 付け替え道路と旧道が合流する少し下の旧道側に烏川渓谷公園があります。ダムができれば水没してしまう公園です。
 ここに中止となった倉渕ダムのサーチャージ水位を示す看板の残骸が残されています。(サーチャージ水位は満水となったときの水位)
 どうやらこの看板はもっと上にあったようですが、なぜかここにはめ込むようにおかれています。
 このあたりにも廃道となった中止ダムの工事の傷痕が残されていました。作業道路には木々が育ち、植生は回復しつつあります。

ダムが作られるかもしれない河原

  
     最後に中止となった倉渕ダムが作られるはずだったあたりの河原へ降りてみました。
 川の水量はとても少なく、簡単に歩いて対岸へ渡れるほどの水位です。少し下流に砂防ダムがあるため、砂礫が堆積してなだらかな流れとなっています。夏とは思えないような冷たい水が流れていて、地元の子供がためらいもせず豪快に水の中に入って水しぶきを上げましたが、ちょっと冷たかったかもしれませんね。
 このあたりはカジカガエルがたくさん生息している場所ですが、もうカジカガエルの季節は終わり、飛び交うトンボとセミの鳴き声と静かな清流の流れる音が聞こえていました。